休業の弊害

また休業が延長になりそうなので、休業による弊害を書いてみよう。
うちみたいなワインバーだと、協力金でなんとか生活と店自体はしのげるのだが、休業は精神的にくる。まず店のコンセプトからしても儲けがめちゃ出る店ではないので、その面ではあまり気にしていない。

やはりこの職種を選択した時点で一番のやりがいは、お客様を招いてお話しする機会を設けれるという部分だ。それこそワインを主体としたドリンクをひとつのツールとして愉しんでもらえる場を提供できるのが幸せなのだ。初めて来店されたお客様に対し、どんな方なんだろうと興味を持って話していき、知っていく過程はとても楽しいものです。そのお客様が気に入ってくれて、何回も通ってくれるようになるのも格別の喜びです。お客様も非日常の空間でアルコールを飲みながら話すことで、ストレスを発散できているように、実は私もお客様と話すことが一種のセラピーになっているのです。休業してみてそれをより実感しました。

私も接客は硬くない方なので、お客様とは笑いを交えて話すことが多く、この笑いが生活には大事なんですよね。分析的に語れば、「笑いは、モルヒネに似た鎮静作用を持つエンドルフィンの分泌を促進し、呼吸による酸素と二酸化炭素の交換を4倍にします。また、消化管を攪拌して便秘に効果があると同時に、肝機能不全を補う作用も果たしているのです」。こういう場を奪われてしまう休業は精神的にかなりのダメージを喰らいます。

また、去年から時短営業などをしてわかったことがあります。それは、営業のリズムが変わったりすると、調子がなかなか出ないのです。労働時間は短くなり、体力的には良いに違いないのですが、体力よりもこのリズムの方が実は大事で、トークや接客のパフォーマンスが格段に落ちるのです。お客様は気づかないポイントだと思いますが、同業者の方はわりとわかってもらえるのではないでしょうか。

時短営業でそのレベルなので、休業を約2カ月した後の営業のプレッシャーは相当なものです。コンディションを整えようにもそれは接客でしか戻せないものなので、休業の弊害はかなりのものなのです。こんな内情を吐露してもうたので、営業再開後のパフォーマンスの低下は良いワインを出すということで勘弁してもらえたらなと思っております。