知の探究

先日ソムリエの資格をお持ちのお客様から「ソムリエ・エクセレンス(シニアソムリエ)」は取らないんですか?と聞かれました。確かに考えた時期もあったんですが、今は取る気はないんですよね。
挑戦するなら1年がかりになるでしょうし、その勉強もこの仕事をしていたら役に立つのは間違いないのですが、僕の中ではワインやチーズにまつわる勉強は日ごろからしていて当たり前なんです。そしてワインセミナーに向けての資料作りにも膨大な時間を費やします。

何よりも思うことが、ワイン以外の勉強の方が大事ということ。自分でオーナーソムリエとして店をやっていてつくづくそう思います。いくらワインに詳しくてもお客様の心を掴むことはできません。ワインだけの勉強がしたいなら講師をしていればいいだけで、僕にとってソムリエやワインというのは“知”の1ページでしかないのです。
それにこの世界はあまりにも知らないことが多すぎるのです。「無知の知」、知らないということを知っている自分としては、知への渇望があり、知ることが喜びなのです。

なのでソムリエの上のクラスの勉強だけに時間を費やすのは勿体無くて、“何”に対してかはわかりませんが、申し訳ないのです。だからそこ、歴史や文化、世界の遺産や謎、宇宙のしくみや天文学、この世の理、信仰や哲学、心理学や行動学など多くの知らない分野を知る旅を続けているのです。その探究に終わりがない分、どこまでのことが知れるのだろうと思い今日も本を読むのです。