世界3大ワイン短編ミステリーのひとつ。ロアルド・ダールの「味」をご紹介。
ワインにたずさわる者として、ブラインド・テイスティングは避けて通れない。ソムリエの二次試験でもワインが何かわからない状態で出され、ドキドキ緊張感がひたすら続く場面だが。
そのブラインド・テイスティングをテーマにしたのが、この「味」という作品。わずか30ページほどの作品だが、これが常軌を逸していて面白い。
内容としては、2人のワイン通が、1本のワインをブラインドで当てられるか賭けをする。以前はワインをケースとかで賭けてはいたが、今回は賭けるものがとんでもない!一人は自分の邸宅と別荘を、もう一人は自分の愛娘だ。妻や娘の反対を押し切り、ブラインドが始まる。
当てれないと思う者、当てれると思う者の闘い。一同が見守る中、ワインを口に含み、慎重に香りや味を分析しコメントしていく。そしてワインの産地が徐々に絞られ、そして・・。
手に汗握るなんともスリリングな展開のストーリー。そしてラストの驚愕のどんでん返しは読む者を唸らせる。伏線もあり、このオチでスパっと終わるところも秀逸。余韻に浸れる。
これはまさにワインを扱った短編小説として、名作中の名作。ワイン愛好家なら、読んでおくべき珠玉の作品。