とてつもない数学 前編

この本も面白い箇所が多かったののでまずは前編。

「1日あたりに離婚する人数の求め方」
数や量を想像できますか?とうい話で。ここ数年の日本の離婚件数は20万7000組くらいです。ただこの数字だけだとよくわからないものですよね。そこで使うのが1日あたりという言い回し。20万7000組は1年で割ると、1日あたり約567組離婚したことになり、24時時間で割れば1時間あたり約24組、さらに割っていくと、2分半に1組が離婚していることがわかる。ボンヤリから具体的になると数字もリアルになるわけです。
2分半に1組か・・多いと僕は思うが、どうなんだろう。

「ノイズキャンセリング」
昨今話題のこのノイズキャンセリングヘッドホン。これは数学の技術なくして到達できたテクノロジーです。「負の数」のおかげであり、外部マイクから取り込んだ音と鼓膜を揺らす振幅の正負がちょうど逆となる音を発生させることで、無音に近い静かな状態を作り出している。単に外の音をシャットアウトするだけの「防音」とは次元の違う静けさを味わえるのです。
人間の手による負の数の発明はこのような技術の開発にも繋がっているのです。

「新聞紙を42回折ると・・」
「2×2×2」のように〃数を繰り返し掛けることを累乗というが、累乗は途中から爆発的に変化するので面白い。たとえば、新聞紙(厚さ0.1mmとして)を折るということですら恐ろしいことになる。10回折ったときの厚さは10センチ、14回で成人女性の平均身長を少し超えるくらいの約164㎝。
ここからの爆発力がえげつない!30回で東京~熱海間の距離(約107キロ)に達し、42回折ると月までの距離(約38万キロ)を超える!

「“6174”の不思議」
なんでもいいが4桁の数字を出してみる。そしてその4つの数字使ってできる最も大きい数と最も小さい数の差を考える、出た数字の差をさらに同じように繰り返していくと、最初がどのような4桁であっても、必ずいつかは「6174」になる!これをカプレカ数という。
ちなみに、3桁のカプレカ数は「495」。5桁のカプレカ数はないが、これまでに全部で20個のカプレカ数が見つかっている。

「自己言及のパラドックス」
正しく見える前提や論理から、納得しがたい結論が導かれてしまう問題のこと。
「私は嘘つきである」という発言。私は嘘つき→「私は嘘つきである」という発言も嘘→私は正直者。となるが、「私は嘘つき」という前提で始めたのに、「私は正直者」という結論が得られる矛盾である。
この発言が嘘だとすると、今度は、私は正直者→「私は嘘つきである」という発言も本当→私は嘘つき。となり、やはり結論が矛盾する。
他にも、「例外のない規則はない」や。「この壁に張り紙をしてはならない」がある。

「床屋のパラドックス」
ある町には床屋が一軒しかない。またその床屋は男が一人で営業している。この床屋は自らにあるルールを課していた。
それは「自分でヒゲを剃らない町人のヒゲはすべて剃る。しかし、自分でヒゲを剃る町人のヒゲは剃らない」というものである。さて、この床屋のヒゲは誰が剃るのだろう?
剃らないでも剃るでも課したルールに矛盾が生じるわけだ。このように、「数学には真であることも偽であることも証明できない命題が存在する」ことが明らかにされた。これがまた数学の面白いところだ。

ダヴィンチは言う「シンプルであることは究極の洗練だ」。
チャイコフスキーも「もしも数学が美しくなかったら、おそらく数学そのものが生まれてこなかったであろう」と言っている。

こうしていろんな数学的なものに触れると、多くの人が言うように、まず数学は簡潔さの美がある。一見ややこしい記号やアルファベットに包まれているが、それは間違えないための簡潔さであり、シンプルにしようと試みた結果なので、やはりそこには美しさがある。