レオナルド ダ ヴィンチ

残された作品はたったの13。しかも作品の多くが未完成!
「美は善ではない」という言葉を残している。美しさよりも物理的な表現上の正確さの方が重要とした。このルネサンス期の画家にはない発想だ。やはり彼は画家というよりも、むしろ科学者に近い。
見たことのないものは描かないが、見えるものはあくまで写実的に描くとうい哲学。可視物だけを正確に描く、冷徹なまでの合理精神は当時としてはまさに異端。

そしてラ・ジョコンダ(モナ・リザ)のモデルは、定説があり定まっていないとされるが、「母親を描いた」と推論できる。理由は、まずレオナルドが本作を売ろうとした形跡がなく、世を去るまで筆を入れていること。飽きっぽい彼には珍しいことであり、金銭や名声とは別の動機があったと考えるのが自然だ。婚外子として生まれ母の記憶はないが、レオナルドが想う母の肖像だからこそ、手放さず完璧を求めて亡くなるまで手を入れ続けた。そう考える方が自然だし、母性を求め続けた画家の普遍的テーマや想いが伝わってくる。

専門家からはこの「ラ・ジョコンダ」も未完とされている。レオナルドにしては手の部分がまだ完成されていないと指摘している。
ちなみに私の一番好きなレオナルドの作品は本の表紙にもなっている、遺作「洗礼者ヨハネ」。