数学者との対話

“数学者は意外と数字を使わないんです”。先日、若手数学者の方が来店された時の会話で驚いた一言がこちら。いや~ひたすら興味湧く話しを聞かせてもらえました。
まだまだ詳しく知識を得ていない数学や物理学の分野の私の話しを聞いて下さり、有意義な答えを与えてもらえて、めちゃくちゃ為になりました。

私自身が昔から気になっていた100年以上前の大天才数学者「ラマヌジャン」の話しをすると、そこにハーディー(イギリスの数学者)との関係や“タクシー数”に関するエピソードの話しをして下さったり、数学界の大難問“ABC予想”や、物理学との考え方の違いなども詳しく教えてもらえました。

何よりも私が昔から一番話したかった数学者の話をやっとできる方に会えたのでテンション上がりまくりでした。その数学者の名は「ペレルマン」。私が昔見たドキュメンタリーでその数奇な人生が気になってしかたがなかった人です。
数学界の難問中の難問といわれた“ポアンカレ予想”を解いた人物なんですが、その功績はすごく数学界最高の賞を貰えるはずが、なぜか本人はそれを辞退し、お金も地位も名誉も捨て、引き籠もりの生活をし、世間から一切断絶した暮らしを送り始めるんです!
意味がわからないですよね!そしてペレルマンの才能を見出した恩師がペレルマンを訪ねるんですが、本人は会うことも拒み、会話もせず追い返すのです!なぜそうなったのかすらわからないこの人物がずっと気になっていて、やっと話せたので嬉しかったのですが、数学者の方もそのエピソード以降のペレルマンの情報はなく、謎のままで終わっていると聞いてさらに興味が湧きましたねぇ。

その難問“ポアンカレ予想”もこんなアホにわかりやすくさわりだけ教えて下さいました。きちんと話したら2時間以上かかるそうです!まぁ私では理解できないので、まずは何を言っているのかわかるくらいの知識を得るため、数学と物理学の本を買いました。

私が「数字という無機質なものに・・・。」、という発言には、数学者は「一見数字は無機質に思えるんですが、知れば知るほどそうではないとわかるんですよ、それが数学なんです。」、と諭していただいたり、私が話した話題で例えとして、AとBの話において、普通ならAからB、BからAへの発想で話してしまうんですが、その数学者は「Aが仮にA´としてらどうでしょうか?」、「B´もありBも違う姿に映りませんか?」といった導きもしていただけました。
まさに目から鱗で、数学者的考えはこうなんだと、自分の物事に対する見方を別次元で提示してもらったようでした。自分の世界がまさに開けたような感覚で、“知”の在り方を考えさせられましたね。

そしてその方に「なぜ数学者になったのですか?」と聞いたのですが、その方は、「まずは小さい頃から物理に興味があり、そこから始まったのですが、“現実世界の数(すう)に興味を持ち、追求したいと思ったからです”」と言われました。・・むずい。
次来られる時までに頑張って勉強してついて行けるようになっておこうと思いました。

映画グッドウィルハンティングで数学の世界に興味を持ち、それ以降もラマヌジャンや、ペレルマンといった偉大な数学者のエピソードに感銘を受けていたけれど、こういう自分の興味の深い部分って、話す機会も話す相手もいないことが多いので、やっとその気持ちを成仏させれたと嬉しく思っています。そして、興味は次に進み、自分でさらに物理学や数(すう)を知ろうという所に来ました。

これもお客様が店に来て下さって、話しができたからこその発見なので、こういう出会いも含めてどんなお客様が来ていただけるのか、いつも楽しみに待っているのです。心の準備はいつもできております。