銃規制が進まない理由

今回は、銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が無くならないからくりをお伝えしましょう。一番わかりやすいアメリカで。

日本人からしたら銃そのものを無くせばいいだろうという発想になりそうですが、そんな単純なものではないのが現実です。なぜならアメリカでは憲法に保障されている銃所持の権利があるからです。

アメリカ国内には3~4憶丁もの銃が存在します。ライフルやショットガンは18歳以上、ピストルは21歳以上で買えるのです。しかも一部のスーパーでも購入できるという、日本人には到底想像できない現実がそこにあるんです。
アメリカでは2009年から2018年の10年間で年間平均3万5000人以上が銃によって殺害されています。毎日100人近くが銃で命を落としている計算です。

ではなぜ銃規制が進まないかというと。そもそもアメリカはイギリスをはじめヨーロッパから新天地を求めてやってきた人々が、イギリスの理不尽な植民地収奪に反発し、銃を持って独立を勝ち取った国です。開拓者である移民達は入植地を守るため、男たちは全員銃を持ち外からの侵入者に対して備えた。つまり銃によってアメリカという国ができたのです。

この思いはアメリカ人のDNAとして受け継がれています。
銃を持つ権利は合衆国憲法で1791年に規定され、国民に保障された当然の権利なのです。そして銃規制が進まない背景として、NRA(全米ライフル協会)の存在があります。
銃を持つ権利を擁護する運動を行っている団体で、設立も1871年にさかのぼります。
この団体は「人を殺すのは人であって、銃ではない」という考えです。会員数も多いので選挙の票にも直接結びつき、献金を受け取っている議員も多いのです。こうなると議員は本格的な銃規制には否定的な立場を取るのです。

そして現実問題、なにかとニュースになる銃乱射事件があっても「銃を所持できる国民の権利を守れ」と気勢をあげる国民は少なくないのです。
では、銃を無くすには憲法を変える必要があり、連邦議会上下両院で3分の2の賛成による修正手続きの後、50州のうちの4分の3の州議会が承認しなければならないという壁があり、到底不可能な道のりなのです。
まぁこのハードルに比べたら日本は本気を出せば銃規制を強化できるでしょう。

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